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五島暮らし

​上五島の四季をお届けするコラム

冬便り!ハコフグの味噌焼き「かっとっぽ」





魚類学者でタレントとしてもお馴染み、さかなクンがかぶっている帽子といえば、思い浮かぶでしょうか。かわいい顔をしたハコフグ。五島では浅瀬で年中見かける魚ですが、食べ頃は冬。だんだん脂がのって大きくなる11月から12月は、「かっとっぽ」(味噌焼き)がおいしい季節なんですよ!

 

ハコフグは敵から身を守るために、六角模様の硬い骨板(ウロコが発達した殻のようなもの)に覆われているので、背から包丁が入りません。皮のぬめりをしっかり洗って、お腹を裂いて内臓を出します。そこに味噌とネギとみりんなどを混ぜたものを詰めてホイル焼きにしたのが、五島の郷土料理「かっとっぽ」。料理屋で予約しないと食べられない、知る人ぞ知る珍味として人気です(※)。

 

箱型の体を器にした蒸し焼きなので、身がしっとりと歯ざわりよく仕上がります。お腹の両側や尻尾、頭から丁寧に身をはがして味噌と絡めると、やみつきになる味わい。身をはがすのはちょっとコツがいるので、島の人にやってもらうのがおすすめです。

 

五島で昔から家庭料理として伝わる「かっとっぽ」は、家それぞれの味があるんですよ。まず、使う味噌はどの家も自家製。年の暮れには一年分の味噌を仕込むので、私も妻のこころさんも子どもの頃はよく手伝いました。味噌づくりやハコフグを安全に調理する知恵は、親から子に伝えられるものだったんですよ。あとは、生姜やニンニクを入れるなど、家によってレシピはさまざま。僕の家では、ハコフグを漁師さんに分けてもらうと母が捌(さば)いて、父が庭の七輪で焼くのが冬のいつもの光景でした。脂の多い魚なので脂がジュワッと炭に落ちて、煙がもうもうと! とても、家の台所では調理できません。最近では、五島でも調理する家も少なくなりました。わが家では、毎年この時期になると冷凍庫に常備しています。娘が島に帰ってくると、熱々ごはんにのせてハフハフ言いながら食べる、「おかえり」の味。庭で「かっとっぽ」を焼く光景も香りも失われていくのかもしれないと思うと寂しいので、島の人にも島外から来た人にも「かっとっぽ食べにおいで」と声をかけるんですよ。(慎)

※ハコフグ類は皮と内臓に毒性(パリトキシン様毒)を持つとされています。飲食店で提供するには「ふぐ調理師免許」が必要で、食品衛生法によって可食部以外の提供や販売は禁止されています。一般のご家庭で自己流の調理は絶対にしないでください。


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株式会社虎屋

長崎県南松浦郡新上五島町似首郷787-17番地

TEL.0959-54-1056   /   FAX.0959-54-2211

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